加工工場の中では全身白衣の作業員が商品の袋詰め作業に専念している。同社では、刺身に添えられている大根のツマを主力商品として、生産から加工までを一括で取り扱うことで、利益をあげている。20年ほど前、スーパーマーケットでは、刺身のツマは販売されている陳列現場の裏側にある厨房で切られていた。そこには人件費や労力、時間といったコストがかかる問題があった。その問題に着目し、ビジネスへとつなげたのが、同社。そのアイデアはとても明快なものだった。「大根のツマは刺身と一緒に必ず売れるから、大根を作ればいい。そうすればスーパーマーケット側の問題も解決できる」。シンプルな発想だが、市場のニーズから生産するものを決め、かつ消費者の手に行き渡る瞬間までの全工程を手掛けたのが、成功の理由。また、工場の2階には強化ガラスを使用したビニールハウスの工場「天空の畑」がある。夜間もナトリウムランプを照らし、日照不足の時でも作物が育つ。畑に入る前は、石けんで手を洗い、ブラシで埃を落とす。温度、湿度、日照時間などをシステムで管理するほどの徹底ぶり。おいしい野菜を計画的に、市場へと供給できるようになれば、売り上げも計画的に計算できる。同社が生産する野菜は、昔は農地だったが、農業をやめて放置されていた耕作放棄地や荒廃地といった条件の悪い土地を、自分たちで開墾して農地に変えた土地で生産されている。まだまだ日本には、耕作放棄地が多い。いま、農業にはたくさんのビジネスチャンスが広がっている。


